日本は世界的に見てDX(Digital Transformation)が遅れていることが問題視されています。国はDXを加速するために小学校の科目にプログラミングを組み込むなど取り戻しに必死です。確定申告の窓口に行くと、相談に来た人を対象にスマホやパソコンを使った申告を傍で支援している光景に少し驚きました。
それではそもそもDXを何のために進めるのか、その趣旨が一般にきちんと伝わっているのでしょうか。
諸外国より遅れているから?
行政手続きの省力化・簡素化?
キャッシュレスが進まず、相変わらず現金決済が主となっているのはなぜなのか?
このように幾つも生じる疑問に対してその答えを明らかにすることなくデジタル化を進めても定着は難しいように思います。マイナンバーカードに至っては「国民・市民の利便性の向上」ではなく「国民を背番号で管理する監視システム」といったイメージが先行し、国と国民の信頼関係の薄さが感じられ残念な話です。
このような中でもしDX(デジタル化)自体が目的化してしまっていて、「何のために」という本来の目的が判然としなければ本末転倒です。
ではDXの「本来の目的」について考えてみます。
デジタル化は“アナログ領域の事象”を数値化して取り扱いを容易にし、かつ処理を高度化するための手法・ツールに過ぎず、対象の本質まで変えるものではありません。デジタル化はその効果について理解することで「本来の目的」から外れることなく進めることが可能です。
【デジタル化の効果】
・省力化、省スペース化
・処理の高速化、高度化
・本物らしさの創造
(これが最も誤解を受けやすい点)
これらの効果を誰もが享受できるよう環境構築しなければDXが成功したとは言えません。
「私はパソコンが苦手」「私はスマホは使わない」と言わせてしまうのは本人の問題ではなく、システム側の問題が大きいのです。システム構築のエンジニアが最も陥りやすい罠は「自分が当たり前にやっていることは“常識”で誰でもできる」と誤解することです。
「人がシステムに合わせる」という要素をできるだけ少なくして、「システムが人に寄り添う」造りが大切なポイントです。
既にITは生活のさまざまな場面に浸透してきています。そうした中でデジタルデバイドによって「知らなかったことで不利益が生じる」ということがないよう情報の格差についても解消・排除していかなければなりません。
未来創造実践工房は「本来の目的」に沿ったデジタル化を支援します。