ウクライナ危機によって世界各国は改めてエネルギー問題に直面することになりました。
つまり世界中の多くの国がロシアの石油、天然ガスに大きく依存していたために状況の激変を躱せない事態に陥っているわけです。しかし2050年のカーボンニュートラルに向けた2030年の目標達成はこうした事態に直面することでもなければ徐々にハードルを下げてずるずると引き伸ばしていたかもしれません。
危機管理の観点では、このような事態においても無理なく事業を継続できる態勢を早急に構築することが持続可能な未来につなげる近道であることが明白となったことは皮肉な話です。
一方でエネルギー問題が「電源構成論」に直結することには大きな違和感を持ちます。
日本の電源構成は電力全体の3/4を化石燃料に依存していますが、元々火力発電の効率はせいぜい40%です。こうした割合から考えるとエネルギー利用を電力に依存しすぎると膨大な未利用のエネルギー(エネルギー損失)を産んでいることになってしまいます。
本来エネルギー問題は電源構成論ではないはずです。エネルギー源の持つポテンシャルを最大限有効に活用しつつどれだけエネルギー全体の消費を抑えられるのかという両輪で“省エネルギー”を論じなくてはなりません。エネルギー利用を総量で見れば実に85%が化石燃料依存となっている現実を踏まえエネルギーの問題はイコール「電源構成論」ではないということを理解しておく必要があります。