新潟県のアンケート調査で
現居住地への愛着を聞いた項目

 2022年2月に新潟県から「県民の意識・満足度アンケート」の報告書が公表されました。有効回答数1,656(総人口の0.1%弱)のサンプル調査で、これによるとおよそ7割の県民は新潟に「愛着や魅力」を感じ「定住したい」と思っていることが伺えます。しかし「県外への移住」の意向も4割あり「雪や災害に対する不満」「買い物、文化・娯楽への志向」「医療充実の希望」といったことも伺えます。ただこの結果からは県民意識の中に「新潟に対する強い不満」があるようには見受けられません。

ブランド総合研究所の
調査結果から表を作成
(新潟県は45位)

 一方ある調査会社が2020年6月にインターネットで実施したアンケート調査(16,000人が回答)によれば新潟県は「生活満足度」において全国47都道府県の中で45位、つまり最下位から3番目という不名誉な結果となっています。この調査はインターネットユーザーが対象で偏りがある可能性も否定できませんが、インパクトがあり無視するわけにはいきません。2022年1月末に総務省が公表した「人口移動報告」でも新潟県の人口流出に歯止めがかかっていないことが明らかになり前記の調査会社の発表との整合性があるように思われます。コロナ禍で都市圏から地方(田舎)への移住が進んでいるとされる一方で、2021年度も転出超過であったことは憂慮すべきことです。人口減少は地域経済の衰退と表裏一体であり、活性化と持続性の維持に必要な体力を失うことに直結します。なぜ転出超過は止まらないのか。県の公表結果との落差についてはその要素をしっかり把握する必要があるでしょう。

新潟県は転出数が2021年に全国4位で
2020年に比べてもさらに3人増加
総務省が実施した人口移動調査より


 若い世代が「田舎はダサい(カッコ悪い)」「やりたいことがない」「風土が嫌い(感覚や価値観が時代遅れ)」「不便(交通手段が限られる、欲しいものが手に入らない)」といったマイナス面で評価しがちなのは止むを得ないと思いますが、「食」「ものづくり」「温泉」「自然」といった”新潟の強み”が当たり前のように身近にあることでかえってその価値に気が付かないとすれば勿体無い話です。

 新潟県の令和四年度当初予算案はアンケート結果も踏まえつつ、人口流出に歯止めをかけるといった観点で柱立てされているようですが、具体的に身を結ぶのか懸念は拭えません。地域事情や年代によって差があることは否めませんが、どのような課題が内包されているのか緻密にインタビューを行って県民の意向をしっかり把握する必要があります。ファクトを押さえなければ有効な対策は打てません。