「SDGs」というタイトルの不明確さ

 「SDGs」はSustainable Development Goalsの略でその和訳は「持続可能な開発目標」とされています。しかしこの和訳は文字通りの直訳で直感的には分かりにくいと思います。
 ですから説明上は「地球上の様々な活動が持続可能である未来を実現するために今取り組まなければならない開発とそのマイルストーン(道標)」といった補足をする必要があると思います。

ボランティアではない

 SDGsに取り組むと言っても「何をやったらいいかわからない」「我が社の事業にどのような改革要素があるのかわからない」といった理由で“清掃ボランティア”など「社会貢献的に良い活動」に終始してしまうこともあるでしょう。
 もちろんこうした活動も大事な社会的活動ですが、やはり本業におけるSDGs の趣旨に則った取り組みが欠かせません。

ビジネスチャンスなのか

 「SDGsはビジネスチャンスである」というフレーズをよく耳にします。しかし今私たちが直面している地球規模の危機への対処は「儲からなければ取り組まない」ということで済ませられる段階ではありません。そうした意味では「今」人類が立っている分岐点において存続の道を選べる「最後のビジネスチャンス」と言えるかもしれません。
 きれいごとのようですが未来へつながる長い目で「人類が生き残ること」こそが「得である」という観点を持つ必要があるでしょう。

ムーブメント作りと実際の効果

 プラスチック削減や切り札としてレジ袋が有料化され、CO2削減に向けたEV化が促されています。これらの施策は市民・民間企業と問題意識を共有する一定の効果があるものと思われます。
 しかし「レジ袋を使わないことによる安堵感」や「EVの利用」=「自分は環境に配慮している」という安易な認識=誤解が蔓延しているように思われます。
 脱プラスチックもEV化もピンポイントの対応を行なったただけでは根本的な問題解決にはなりません。「行動」が自然発生的に起こるのを待つのではなく、官と民で意識を共有しポジティブな連鎖によって持続する「ムーブメント」として確かなものになるよう行動しなければなりません。

エネルギー問題は「電源構成」の問題にあらず

 エネルギー問題は「電源構成」だけを論じても本質を見失うことになりかねません。
 日本の電源構成では電力全体の3/4が化石燃料によるもので火力発電の効率はせいぜい40%です。

エネルギーの利用を電力だけで考えると大量の未利用のエネルギー(エネルギー損失)を見逃してしまうことになりかねません。
 本来エネルギー問題は電源構成論ではなく、エネルギー源の持つポテンシャルの最大限有効活用と、エネルギー消費の抑制をセットにした“省エネルギー”の観点で論じなくてはなりません。